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第3章 お隣さん・弥生 3/4

last update Terakhir Diperbarui: 2025-04-06 18:00:25

 日曜の昼下がり。

 小鳥〈ことり〉がベランダで、歌を口ずさみながら洗濯物を干していた。

 いつも室内で干している悠人〈ゆうと〉にとって、ベランダが洗濯物でうまっていくのは新鮮な眺めだった。気持ちのいい風が入り込む中、悠人は煙草を吸いながら小鳥が干すのを眺めていた。

 * * *

「悠兄〈ゆうにい〉ちゃんって、いつも同じ服を着てるよね。どうして?」

 昨日の夜、小鳥に聞かれたことを思い出す。

「ああこれな。俺は下着も服も靴も、同じものしか持ってないんだ」

「……どういうこと?」

「小百合〈さゆり〉から聞いてないのか? 色んな服があったら着る時に悩むだろ? そんなことで悩むのがバカらしいから、全部同じにしてるんだ。年に一回、下着も服もセットにしてまとめ買い。合理的だろ?」

「うーん、そんな人に会ったの初めてだから分からないけど……でもね、その日の気分で服を変えたりするのって楽しくない? 着る服で気分が変わることもあるし」

「よく言われるんだけどな。なんかそう言うのって苦手と言うか、興味ないんだよな」

「それに悠兄ちゃん、真っ黒だし」

「だな」

「ティーシャツも黒、ジーパンも黒、パンツも靴下もワイシャツも靴も、ジャンバーまで全部黒。どこかの危ない人みたい」

「落ち着くんだよな、黒って」

「じゃあ小鳥が今度、悠兄ちゃんに服をプレゼントしてあげるよ。小鳥が買ったら悠兄ちゃん、着てくれる?」

「うーん……会社の子にも同じこと言われたけど、その時も結局返事出来なかったんだよな。着るかどうかの自信がないから」

「じゃあ悠兄ちゃん、気に入らなければ着なくていいってことなら、買ってもいい?」

「いやまぁ……買ってくれるのは嬉しいけど、でも俺にプレゼントしても甲斐がないぞ。自分の服を買った方がいいと思うけど」

「大丈夫だよ。小鳥にはお母さんからもらったあらゆるデータがあるから。悠兄ちゃんが着たくなる服、探してきてあげる」

「……お前は一体、小百合から何を吹き込まれてるん

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     その時インターホンがなった。小鳥〈ことり〉がモニターを覗くと、弥生〈やよい〉の姿が見えた。「弥生さんだ」 小鳥がドアを開け、弥生を連れて戻ってきた。「悠人〈ゆうと〉さん、川嶋弥生、無事サークル打ち上げから帰還いたしました。二日ぶりであります、ビシッ!」 そう言って敬礼する。「いや、だから……ビシッって擬音はいらないと何度言えば」「いやー、しかしヲタ文化は奥が深いです。今回は別のサークルとの親睦会を兼ねていたのでありますが、そこにいたメンバーと熱く語っていく内に『ナイト・シド』の新しい魅力と方向性を発見した次第でありまして……やはりヲタも10人いれば10の見解があるものでして、それはもう新鮮で堪能出来たと言うかなんと言いますか…………ん?」 饒舌に語っていた弥生の目に、金髪のツインテール、小さな美少女の姿が入った。 弥生の顔が強張る。「な、な、な……悠人さん、なんですかこの、絵に描いたようなツンデレ幼女は」 警戒レベル5の面持ちで、弥生が沙耶〈さや〉を凝視する。「おいエロゲーお約束メガネ女。ひょっとしなくてもツンデレ幼女とは、私のことを言っているのか」 何故か沙耶も、臨戦態勢に入っていた。最初から毒全開である。「ほほう。メガネをお約束と言うからには、それなりに素養はお持ちのようですね。このシークレットブーツ愛用者」「ふん、貴様こそ分かっているのか無駄乳女。メガネは所詮、メインヒロインにはなれんのだぞ。よくてサブだ。死ぬまでその座に甘んじてみるか」「ツルペタ無乳未成熟女がなにやら吠えてますね。悔しかったらその発育不良な無乳を揉んで、発育の手助けでもしてあげましょうか」「おいおいお前ら、なんでいきなり喧嘩腰なんだよ」「悠人さん!」「遊兎〈ゆうと〉!」「は、はい……」

  • 幼馴染の贈り物   第6章 悠人争奪戦 4/6

     悠人〈ゆうと〉が帰宅すると、すでに食事の用意が出来ていた。 リビングでテーブルを囲んでいる小鳥〈ことり〉と沙耶〈さや〉。二人は仲良く談笑していた。「おかえりなさい、悠兄〈ゆうにい〉ちゃん」「ああ、ただいま」「遅かったではないか。その労働の対価として、正当な報酬をもらっているのだろうな」「いやいやいやいや。帰って早々、そんなややこしい話はやめてくれ」 * * * 三人での食事は賑やかだった。沙耶は終始上機嫌だった。「小鳥、お前の料理の腕はなかなかのものだな。このような物を食べるのは初めてだが、うちのメイドに勝るとも劣らぬ腕前だ」「サーヤってば本当、お世辞うまいね」「いや本当だ。この……なんと言ったか」「オムライス」「そう、オムライスだ。ケチャップソースと卵のふんわりとした食感の絶妙なバランス、絶品だ。スープもうまい」「ありがと」「それになんだ、初めは驚いたのだが、この料理はケチャップでメッセージを伝えるという面白みもあるのだな」「悠兄ちゃんへのメッセージ、今度サーヤが書いてみる?」「本当か。お前はいいやつだな」「しかし……」 悠人が口を挟む。「沙耶へのメッセージはまぁいいだろう。『サーヤ』だからな。でも俺のこれはなんなんだ?」 悠人のオムライスには『LOVE』と書かれていた。「この歳でこれを食うの、ハードル高いぞ。メッセージが重すぎる」「いいじゃない。新妻のオムライスだと思えば恥ずかしくないでしょ。そうだ悠兄ちゃん、今度お弁当も作ってあげる」「絶対紅生姜でハート作るだろ」「あ、分かっちゃった?」「分からいでか。って、会社で見られたらドン引きされるわ」「ぶーっ、せっかく気合入れようと思ったのにー」「小鳥。それは恋人が作るお約束の

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